渋谷駅ハチ公前広場観光案内所内のコンセプトメイキングを行いました

渋谷駅ハチ公前広場観光案内所内のコンセプトメイキングを行いました
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2020年10月1日に渋谷駅ハチ公前広場にオープンした観光案内施設「SHIBU HACHI BOX」、その施設の中の「まちの情報発信スペース部」のコンセプトメイキング及び初期ラフ空間デザインをネオマデザインで担当しました。

ここにはもともと、元東急5000系電車、通称青ガエルと呼ばれた車両が置かれており、観光案内所として使われていました。2020年2月にその青ガエルの車両は秋田県の大館市にある市観光交流施設「秋田犬の里」に移設されました(”渋谷ハチ公前の「青ガエル(旧5000系)」、大館市「秋田犬の里」へ引っ越し” – Impress)。

青ガエルの移設後、新たにハチ公前に観光案内施設がフルリニューアルし、SHIBU HACHI BOX としてオープンしました。この SHIBU HACHI BOX は、以下の3つのスペースで構成されています。

  • 一般財団法人 渋谷区観光協会が運営する観光案内スペース(中央部)
  • 東急・東急不動産が共同で運営するまちの情報発信スペース(向って右側、上手)
  • NTTドコモが運営するPRスペース(向って左側、下手)

今回、ネオマデザインでは、向って右側の「まちの情報発信スペース」部分における、コンセプトメイキング・プランニングそして初期空間デザイン(ラフ案)制作を行いました。

システム導入、デジタルコンテンツ制作、最終的な空間のデザインと施工、運用等には弊社は携わってはおりませんが、開発キックオフ時にはコンセプトをしっかり伝えて制作して頂けました。

予算、工数、ステークホルダー様の意志などなど諸々あって、当初の私のコンセプト全部が実現できているわけではありませんが、渋谷にお越しの際にはちょっと覗いてみてください。

今回ブログでは、そのコンセプト制作のプロセス(思考の一部)を御紹介しようと思います。

コンセプト SHIBUYA UPDATE

今回の「まちの情報発信スペース」のコンセプトを考えるにあたり、「渋谷」を改めて解きほぐすところからはじめました。歴史からはじまり、観光客の渋谷に対する期待と不満などもリサーチしました。

まず渋谷のハチ公口といえば、ハチ公とスクランブル交差点。スクランブル交差点は一回で3000人が行き交うとも言われる世界でも稀な交差点で、訪日観光客は必ず訪れる場所になっています。リオオリンピックの閉会式の動画にもマリオが土管を置いたのがスクランブル交差点のど真ん中でした。常に多くの人が行き交うスクランブル交差点においては二度と同じ瞬間がない体験ができます。渋谷のハチ公前広場付近では、常にドラマが生まれていて、それをまさにハチ公も見てきたのかもしれません(近年は、是非あるにせよ、ハロウィンなどのイベントがあると渋谷に多くの人が集まります)。

一方で渋谷というとサブカルチャーが生まれる街という印象をもつ人も多いようです。若い人のファッションを始めとした様々なカルチャーを生み出してきました。ガングロギャル、カリスマ店員・・・。1990年代後半~2000年生まれの「Z世代」と呼ばれる世代はデジタルネイティブでSNSを使いこなします。これらZ世代またはそれよりも若い世代がこれから渋谷に集まる事を想像すると、デジタル×サブカルチャー、どんなものがうまれるのでしょうか。

そして忘れてはいけないのが、いままさに渋谷は東京で最大規模の再開発を行っていること。駅周辺は日々変わっていっています。

「刻々と変化する街」、これからも街としても進化していく、渋谷に集うことで何かが起こる、そんな「生きてる街」「無数の人が集まる街」である渋谷をデジタルのアプリケーション的に捉えて、

SHIBUYA UPDATE(アップデートし続けている渋谷)

というコンセプトに落とし込みました。

「変化」という言葉をあえて使わなかったのは、渋谷に多く集うデジタルネイティブな世代にとっては聞きなれた言葉で、かつ、これから変化していく街、そして生きている街を表現するのに「アップデート」のほうがぴったりな言葉だと思ったからです。デジタル化の波はどんどん今もなお押し寄せてきています。そんな背景も見据えて、渋谷はアップデートしていく、をコンセプトにしました。

SHIBUYA UPDATE 体験

コンセプトである「SHIBUYA UPDATE」を体験できることが「まちの情報発信スペース」の1つの機能にした場合、なにが体験できると良いでしょうか。

「アップデート」を体験するには3つの要素が必要です。

①今を知ること(見えないものが見えリアルを感じる)

②将来を知ること(計画を知り期待する)

③違いを知ること(過去との差分を知る)

これらを体験するために、①をオリジナルのデジタルコンテンツ(デジタルアート)で、②を今後の渋谷の開発計画動画などのサイネージコンテンツで行うことを想定しました。③については、開発履歴の動画や写真なども含めつつも、Webサイトやアプリなどでなにか分かりやすくオンラインでも見えるようにできたら、と考えました。

①のオリジナルのデジタルコンテンツについては、更に3つのポイントを持たせて、SHIBUYA UPDATE EXPERIENCE として体験を考えました(下図参考)。

このオリジナルコンテンツとしてのデジタルアートは、株式会社デザイニウム様が制作しました。上記3つのポイントを非常に上手く取り入れたコンテンツになっています。ぜひ一度御覧ください。

その他の要素として、「アップデート」というのだから、渋谷にバージョンを振っても面白いのではと思っていました。例えば、2020年10月5日10:00は、”SHIBUYA VERSION: SV-02135XK-134″ といったバージョンを渋谷という街に付与する。

そして、過去訪れた渋谷と比較をSHIBUYA VERSIONを使って現在や未来の渋谷と比較したり保存したり。バージョンというと若干、ITの分野の話にも聞えますが、まさに渋谷にITベンチャー・スタートアップが集まっているというところも意識しています。バージョン管理システム (git 等) の概念も入れたりと色々考えてはいましたが、このバージョンという考え方は最終的には不採用となっています。

まとめ

今回は、ネオマデザインが携わった、渋谷ハチ公前観光案内所内の「まちの情報発信スペース部」における、コンセプト「SHIBUYA UPDATE」のメイキングについて書きました。コンセプトに込めた言葉にもあるように、今後、渋谷がどのようにアップデートしていくか、個人的にも非常に興味があります。

今回記載した内容は、コンセプトメイキングの一部で、本来はもっと色々な考察がありますが割愛しています。空間体験作りなどのセミナーなどの機会でお話しできればと思っています。

なお、ここで記載した内容は、ネオマデザインとして考えたコンセプトメイキング時のプランであり、実際に制作されて、現在運用しているコンテンツや設えとは異なる部分があります。その旨、御理解ください。

SHIBU HACHI BOX には、観光案内所以外にもアバターガイドやチケットカウンターなど他にも様々な機能や内容がありますので、ぜひ渋谷にお越しのさいには訪れてみてください。

Links

初期空間デザイン(Designed by Shinpei Ogawa, Design and Communication)


Michinari Kohno

Neoma Design CEO, New Business Coordinator, Beyond UX Creator, UI/UX Designer