AI開発プラットフォームのブランディング BI, VI を行いました
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ネオマデザインは、株式会社クロスコンパス様が2019年4月3日に発表しましたAI開発プラットフォーム「Greenia」のBI(ブランド・アイデンティティ)並びにVI(ビジュアル・アイデンティティ)に携わりましたことをお知らせ致します。
汎用AI開発環境プラットフォーム「Greenia」を2019年6月提供開始(クロスコンパス発表記事より)弊社のロゴデザインも手がけて頂いた、デザインとコミュニケーション 小川晋平氏と共に、ネーミング、アイデンティティ定義、ロゴ制作とそのデザインルール策定などブランディング業務を行いました。
「Greenia」のネーミングは、緑の意味を成す「Green」に大地や場所の意味を表す「-ia」(Asia等)を組み合わせて作りました。緑色は可視光のちょうど中心に位置します。そのため、緑色は、調和や中庸、といった意味が色彩心理として意味付けられています。新しいAI開発プラットフォームが、人・技術・社会環境の中心になり、人と環境の調和を計り、より良い世界になるように、というクロスコンパスの社員の皆様の理念もそこには込められています。
ブランドカラーは、「グリーニア・ブルー」と名付けました。
Green(緑) なのに青色?、と頭をかしげる人もいるでしょう。実はこれには理由があります。
日本は古来「緑色」を「あを」と言っていたようです。今話題の万葉集にも記載がある枕詞「あをによし(青丹吉)」の「あを」は、青々しい緑を意味するとも言われています(諸説あります)。
現在でも「青葉」「青々しい緑」などとも表現しますし、野菜を「青物」ともいいます。緑色でも「青信号」ともいいます。
クロスコンパス様には様々な国籍の方々が働いていますが、日本発の企業です。今後、更に世界に羽ばたいていくことを想像したときに、日本らしさをどこかに仕込めないかと考えて、あえて「緑色」にしていないこのようなカラー選定になりました。
Greenia ブランドアイデンティティ
「Greenia」は、様々なユーザー、メーカー、企業、マーケットに新しい価値を提供するサービスであり、それは人・技術・環境の中心となる「間口の広い、人にやさしいプラットフォーム」を目指すものと位置付けています。
「Greenia」のアイデンティティは、実際のサービスや機能の説明となる表現は用いず、「Greenia」が人々と一緒に創り上げる大きな世界(プラットフォーム)を感じさせる表現を用いたものと定義しました。
CI, VI, BIについて
今回の案件は、属に言う VI, BI になります。ここに CI (コーポレート・アイデンティティ)を加えて、CI, VI, BI と3つのアイデンティティで良く語られます。
CI(コーポレート・アイデンティティ)は企業の理念やビジョン、その企業がもつイメージなどを統合して社会に共有し、企業のブランドイメージを認知理解してもらう活動です。企業のロゴやシンボルなどで表現されることが多いのですが、企業のネーミングや理念やコーポレートカラー選定なども含んできます。
VI(ビジュアル・アイデンティティ)は、ロゴを中心として視覚的な展開を統一することです。
BI(ブランド・アイデンティティ)は、自社または提供する製品やサービスを顧客にどう思われたいかを明確にすることで、「らしさ」を伝える活動ともいわれます。
それぞれ興味ある方は検索してみてください。
大手企業や大きなサービスではこれらアイデンティティについてはブランディングと共に重要視されますが、中小企業やベンチャーにおいては、費用対効果があるのかと軽視されがちです。
特にネーミングやロゴ作成などはクラウドソーシングでそれこそ数万円で依頼できます。しかし、中長期のアイデンティティ活動までしっかり考えてそれらが作られているのか、理念なども理解して制作しているのか、と考えると疑問に残ります。そもそも発注者側がブランディングやアイデンティティについての理解がないと、何を制作側に伝えればいいかもわからないだけでなく、恐らく判断基準も「かっこいい」とか「かわいい」とか「なんとなく見たことないから」といった個人の価値観に左右される曖昧なものになってしまいます。
またアイデンティティの一貫性を保つためにもしっかりと規定を作り遵守することが重要です。
今回の「Greenia」ではガイドラインを作成しクロスコンパス様に提供しています。そこにはアイデンティティのコンセプト、トーン&マナー、アイデンティティの使い方から始まりデザインの規定(最小サイズ、クリアスペース、カラーパレット、背景等)を記載して、勝手にアイデンティティを改変しないよう記載しています。これらについては、CI/VI/BIを専門として活動されている方は当然と思われていることかもしれませんが、意外とロゴを使う側が勝手にやってしまうのです。企業側が理解していても、例えばノベルティやポスターなどにロゴを入れる時に善かれとおもってに陰影などつけて加工してしまったり。このようなことを防ぐためにもガイドラインをきっちり作る必要があるのです。
皆さんが良く目にする有名な企業やサービスのロゴにもちゃんと利用規定があります。以前私が勤めていたソニーのアイデンティティ(ロゴ)は、「SONY」のたった4文字ですが、非常に細かいガイドラインがあったことを思い出します。
slack のロゴ変更
最近、slack がロゴを変更したことが話題になりました。元々slackのロゴは11色というCI(コーポレートアイデンティティ)のロゴ・シンボルとしては多色過ぎていました。slack 社のロゴ変更に伴う説明によると、ロゴを様々な背景に載せると微妙になるため用途別に複数のバージョンのロゴをデザインして利用しはじめたそうですが、結局、それはアイデンティティとしての統一感がなくなったこともあり、よりシンプルなデザインで色も4色減らしたものにした、とのことです。
slack の新しいロゴの是非は色々とあるようですが、元のロゴは slack 創業前に作られたものだそうです。CI の概念なしに作ってしまうと後からこのように変更しないといけなくなる典型例です。
BX(Brand Experience)活動
ネオマデザインは、音声UI(VUI)やUXの会社と思われてしまいがちなのですが、実は様々な業務をお請け可能です。
今回は、VI , BI 業務を引き受けましたが、これはネオマデザインの業務の一つ、BX(Brand Experience) に相当します。UX (ユーザー体験)はわかるけど、BXって?と思う方も多いと思います。BXについては別途説明しようと思いますが、UXがユーザーならCXはUXの複数のサービスやプロダクツをまたぐ顧客(カスタマー)、BXは更にその上の俯瞰した社会全体に対する体験を考えてブランディングの戦略にしていくものと(私は)理解しています。
まだまだBXの概念は日本では聞かないのですが、大手企業にとってブランディングや理念などの考えと戦略は非常に重要です。
まとめ
今回、株式会社クロスコンパス様の汎用AI開発環境「Greenia」のVI, BIを担当させて頂きました。
ネオマデザインでは、インタラクションデザインや音声UI(VUI)UX以外にも、BXについてもコンサルティングしていますのでご興味ある方はお声掛けください。