UI/UXを知りたければゲームをしてみよう

UI/UXを知りたければゲームをしてみよう
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読了時間: 約 8 分

UI/UXデザインやインタラクションデザインはどこからどう勉強したらいいですか、という質問を良く聞かれます。一言で回答するならば、「とにかく体験しろ」になります。しかし何を体験すればいいのでしょうか。スマフォアプリ開発者ならアプリを徹底的に触る。デジタルサイネージベンダーなら他社のサイネージを見て回る。もちろん、すべて正しいのですが、それ以外の体験もオススメします。

それは、ゲームです。

ゲーム、ここでは英語でいう Video Game を指します。PlayStation4, Wii, Nintendo DS, スマートフォン, PCなどのプラットフォームで動くゲームです。

なぜ、ゲームなのか。その理由は4つあります。

  1. インタラクションに対するシビアな要求
  2. UIはゲームの要
  3. ゲーミフィケーションの具現化例
  4. 次世代テクノロジーとの相性

一つ一つ解説していきます。

インタラクションに対するシビアな要求

ゲームは、1秒未満の世界で勝負が決まる非常にシビアな世界です。60fps はあたりまえ。ゲーマーによっては1フレーム、つまり 16.6msec の時間を認知できていると言われています。それぐらいシビアなのです。遅延など極力排除しなければなりません。

テレビのゲームモードは、ゲームに最適な画質にするのが主目的ではなく、低遅延で画像を出力するのが本来の目的なのです。ゲーム機器から出力された画像の処理を極力省いて低遅延で画面に表示しているのです。タッチパッドの感度もゲーム性に左右されます。一瞬のシステムの処理遅れが勝負を決めてしまうのですから、ゲーマーにとっては1msecでも速く正確に認識してほしいのです。

このようにゲームのインタラクションは特殊ではありますが厳しい条件の中で設計を求められています。

UIはゲームの要

テレビのリモコンやMusic Player のUIと違い、ゲームのUIというのはゲームしている間、かなりの頻度でそれも乱暴に利用されます。そのUIがどれだけしっかり作り込まれているかがゲーム性を左右してしまうものすらあります。見やすく、分かりやすく、アクセスしやすく等まさにPeter Morville氏のUXハニカム構造(下図参考)に従っているかが問われます。ゲームのUIは他のアプリ以上に一度の利用で長時間使われるケースもあります。一方、FPS (First Person Shooting Game) などでは、狙撃ボタンが業界の暗黙ルールになっていて、他のゲームからうつってきてもすぐに使えるUIであること=安心感となっています。

特に日本人を含むアジア人はゲームやシステムのUIにうるさいという話を前職で聞いたことがありますが、ゲームのUIがダメだとそのゲームコンテンツ(ストーリーなど)が良くても「クソゲー」のレッテルが貼られてしまうほどUIは非常にゲームにとって大事なものなのです。

PeterMorvilleのUXハニカム構造

ゲーミフィケーションの具現化

ゲーミフィケーション(Gamification)とは2011年頃から使われ始めた言葉です。WikiPediaによると、

  • 最広義: ようするに、ゲームっぽくて役に立つものなんでも。
  • 狭義: 「コンピュータゲームのなかで特徴的に培われてきたノウハウを現実の社会活動に応用する」こと。アドバゲームやシリアスゲームは含まない。
  • 最狭義: そのなかでもとくに「強化学習プロセスやフロー体験を成立させるための最適なフィードバック設計のノウハウ」を応用すること。

と記載されています。ゲームのように人を夢中にさせたり、感情や習性などを利用したロジックやシステム、ゲーム要素を盛り込むサービスなどを指しています。もともとはゲームの世界で活用されていた手法がそのままビジネス/サービスまた学習スキームなどにも活用されているのです。その元になったゲームを知らずしてゲーミフィケーションを語るべからず。

次世代テクノロジーとの相性

VR(Virtual Reality) や AR (Argument Reality) などの次世代技術において、キラーコンテンツはやはりゲームと言われています。人の顔や手などのセンシングによるインタラクションの実現は、昔からありますが、XBOXの付属品にもなっている Kinect によって大ブームになります。VR業界では、SCE の PS-VR (Project Morpheus) の発売を心待ちにしている人もおおいでしょう。120fpsという高いフレームレートでよりスムースな視界を確保しているそうです。これもPlaystation4 と組み合わせたゲームが非常に期待されます。

PS-VR

弊社の得意とする Natural UI に属する音声UIやジェスチャーUIといったものは映画(SF)の世界では一般的になっていますが、まだまだ実用的ではありません。しかしゲームといった特定分野では色々試行錯誤され面白いコンテンツが多くでています。ソフトウェアであれハードウェアであれ、新しい技術は割とゲームの世界でまずは使われ、そして様々な業界に展開されることも多いのです。

まとめ

このような理由もあって、私はゲームの業界を常にウォッチして、そしてプレイしています。単にゲーマーだ、というのもありますが(汗)

今回はゲームに限って話をざっと展開しました。実際はそれぞれの理由をもっと細かく書きたいのですがそれは弊社のセミナーか何かでお話ししようと思います。

UX(顧客体験)/UX Design  というのは非常に広範囲の技術や分野をまたぐものです。ですから、これだけやっておけば大丈夫というのはありません。UXデザインとは、どれくらい広い範囲なのか、どういう分野とからんでいるかなど UXデザイナーの Hiroki Hosaka さんのブログの記事「UXについて理解が深まる!ユーザーエクスペリエンス概念図まとめ」で綺麗に整理されています。非常に分かりやすいのでご参考ください。(Hosaka-san, thanks!)

UXの広範囲さについては、また別途ブログに記載しようと思います。

一番大事なのは「体験」することです。

自分も最近は体験する時間を作ってなかったのでこの冬は色々出歩こうと思っています。ただ、体験しても、それがなぜそうなるのか、などやはりバックグランドとなる知識や経験がないと正しい分析もできませんのでご注意を。
あとゲームのはまり過ぎにも注意しましょう…


Michinari Kohno

Neoma Design CEO, New Business Coordinator, Beyond UX Creator, UI/UX Designer