Ctalks2020でグローバルメーカーとUXデザインについて語る

Ctalks2020でグローバルメーカーとUXデザインについて語る
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2020年1月18日名古屋で行われた “メーカーとデジタルがクロスオーバーするデザインカンファレンス Ctalks2020“にて登壇いたしました。

Ctalks2020 とは:
スマートフォンの普及などによりお互いのデザインの壁はなくなりつつある今、デザイナーは、何を、どこで、誰から学び、どう事業に貢献していくのか。名古屋だからできるメーカーとデジタルのクロスオーバーを実現し両者の知見を活かしたナレッジの交換、課題解決のサポートを行うことで国内のデザイン業界の底上げを行っていきます。始めましょう、まずは名古屋から。(Ctalks2020 Webサイトより)

名古屋、愛知県にはトヨタを筆頭にブラザー、デンソー、アイシン、JR東海など大手メーカーがあります。弊社もこのうち数社と取引があり、一昨年から名古屋の出張が急激に増えています。そんなこともあり、名古屋のUXデザイナー・デザイナーと繋がりができてきたところで、 Ctalks2020 の第一回目にお声掛け頂きました。

参加者は80名程、事前アンケートによるとデザイナーが40%近く、エンジニアが22%とデザイナーが多めのようでした(UXデザイナーの項目がないのでUXデザイナーはデザイナー枠だと想像)。実際は、ディレクター兼務のデザイナーさんとかも居たようです。学生も10%ほどおり若い人が参加されていた印象があります。

最近のカンファレンスらしく、発表中に撮影OK(ただしシャッター音NG、登壇者によってNGあり)で、Twitter にぞくぞくと感想コメントなどが上げられていきます。Twitter タグ #ctalks2020 で皆さん発信されていましたので、興味ある方は検索してみてください。私もこのタグを追っかけて質問に解答したり、コメントして、懇親会の時に色々と話しができました。

オフラインとオンラインの融合は面白いですね。やはりどんなツールやプラットフォームもしっかり運営(使われて)なんぼ、だと思います。また、業界違えど様々な登壇者の面白い発表、あるある話が聞けたのも良かったです。

ちょっと脱線しましたが、そんな名誉ある第一回目、それもトップバッターで私が話しをした内容は、『グローバルビッグカンパニーの事業開発におけるUX・デザイン』です。

グローバルビッグカンパニーの事業開発におけるUXデザイン

グローバルビッグカンパニーとそうではない会社にUXデザインに差があるのか?とこのタイトルをみて思った人もいると思います。私(弊社代表 河野)は長年、ソニー株式会社に勤務しその間にUIやUXデザインにも携わってきました。また、ネオマデザインを立ち上げた後も大手、まさに、グローバルビッグカンパニーと呼ばれる企業の新規事業開発やプロダクツにおけるUXデザインやグローバル戦略やコンセプト創りに携わりました。もちろん、ベンチャーや中小企業様からも依頼を請けてもいます。

その中で、世界市場相手に戦ってきている企業におけるUXやデザインにおいては、当然ながら世界規模で考えて進めて行く必要があります。

日本人・日本国内対象の場合は、日本人の慣習・嗜好・文化などを参考にして当然考えていきます。日本に住んでいて日本人であればなんとなく「こういうものだ」と思い込んでしまってる事がかなりあります。しかし、一歩日本を出ると全く違うカルチャーが待ち受けています。海外旅行や海外出張で皆さんそういうカルチャーショックを経験したはずです。

それはビジネスにおいても同じで、当然UXデザインにおいてもです。同じ人間であってもデザインやUIなど捉え方は様々です。それは個人差もありますが、色々と長年見ていると地域差・国差もあることが分かってきます。例え日本人の中で「これが良い」と思えるサービスやデザインであっても、世界展開する時は、そのユーザー数が桁違いになります。そうなると、日本人の「良い」がはたして世界の「良い」かどうかの見極めも必要です。

「日本の常識は世界の非常識」なんて言葉もあります・・・

自動車、カメラ、ゲーム機、スマフォなど国対応(ローカライズ)することはあったとしても、ボディデザインやUIなどはコスト面など事情もあって基本的にメーカーは統一しています(統一せざるを得ないことがあります)。

こう考えていくと世界相手にUXやデザインを考えていくのは、難しいことだと分かるかと思います。私の発表では、そんな日本と世界の違いについて幾つか事例を挙げて紹介しました。

トイレの男女が色違いになっているのは日本ぐらい、というのは有名な話しなのですが会場では数名しかこの事実は知られていませんでした。気になった方は、弊社のブログ『トイレのサインから見る、人の認知能力とUX』も読んでみてください。

体験させろ!

発表の後半では、私の経験談からプロダクツやサービスデザインを認めてもらうために行った事を話しました。その中で、「経験させろ」というスライドに対しての質問がアンケートでも多かったので補足します。

昨今、プロトタイプを作りPoC (Proof of concept: 概念検証) を実施するケースが多く見られます。PoCやプロトデモの問題として「プロトだからデザインは見ないで」「PoCだから紙だけど画面だと思って」という前提で検証しますが、実際、人間はそんなにロジカルに事象の一部を消して正当に評価できるのでしょうか?

私は凄くその点に疑問をもっています。

もちろん、百戦錬磨で事業判断してきた方は、未完成部分をしっかり目をつぶり、完成形を想像して評価できているでしょう。でも実際そんな人は多くはいない。そして、我々自身、実際に何かを体験して評価するとき、五感を駆使しています。その五感を誤魔化して評価はしにくいものです。(もちろん直感的な判断も重要ですが)

よって、プロトであれPoCであれ極力、人が体験する部分、五感に感じる部分を作り込んで、実際に近い体験をさせたほうが良いと思っています。サラリーマン時代に上司が

「リビングで使う商品を会議室で見せて体験させてもダメだ」

「デモ用のサンプルなんて使うんじゃない、この商品を使う時にユーザーが見る想定のちゃんとしたコンテンツを用意しないと!」

と教えてくれた事を思い出します。なんとなく社内のデモだから手持ちのコンテンツでいいや、とか、エンジニアリングデモだからデザインは適当でいいでしょ、といったことありませんか?リビング風のデモルームを作り、わざわざ靴を脱いでスリッパに履き替えてもらう、なんてのもやりました。やり過ぎな感じもうけますが、体験は手前の見るもの聞くもの触るものから始まっていると思うのです。

もちろん、スクラム開発などにおいてはこれらの体験創りを追い求めると非常に負担になりますのでご注意を。

まとめ

今回、名古屋で行われたデザインカンファレンス Ctalks2020 において世界規模でプロダクツやサービスを作る場合のUXデザイナー・デザイナーが気をつけていること、そして私の経験から導きだした行動指針を紹介しました。その中で、『日本と世界はかなり違う』という話もしましたが、良し悪しを議論するわけではなく、UXやデザインに携わる人は視点広く視れること、そして様々なバイアスも知っておいてほしい、という願いから事例あげて発表しました。

全体的には、話しを絞りきらず五月雨式に発表したので「個別にもっと詳しく聞きたい」という声もアンケートや懇親会でもきかれましたので、次回は少し内容を絞って語れたらと思っています。

私は今後も体験創造ハンター(発表聞いた人しか分からない話しですみません)として今後も色々な体験を創っていきます!

なお、音声UI(VUI)以外でも今回のように(グローバル戦略的)UXデザインなどスピーチ可能です。ぜひ興味ある方はお声掛けください(※1)。関東圏内ではなく全国お伺い致します。

講演や登壇実績(ポートフォリオより)

※1:講演・セミナー費、交通費等はご相談にのります

Michinari Kohno

Neoma Design CEO, New Business Coordinator, Beyond UX Creator, UI/UX Designer