見える化では不十分、行動を起こすための体験デザインを

見える化では不十分、行動を起こすための体験デザインを
この記事をSNSでシェアする

読了時間: 約 6 分

「見える化しよう!」「見える化できてるか?」

問題解決や改善の方法として良くこの言葉を聞きませんか?何が起こっているか分からない状態をまさに可視化できるようにしておこうという非常に良い施策ではあるのですが、ここに落とし穴があります。

その落とし穴とは、まさに見える化(可視化)だけして満足してしまうのです。今回は分かりやすい失敗事例を3つほど挙げて説明しましょう。

東日本大震災後、日本では企業だけでなく一般家庭でも節電などの省エネ活動が話題になりました。家庭のテレビやスマホなどで電力利用状況などをこぞって「見える化」したら便利になるはずとアプリやウィジェットをリリースしました。しかし、ユーザーにとっては、“今月の電気使用料は 200kWh” と表示されたところで、

それはわかった?で、どうしろと?どういう状況なんだ?

となってしまうのです。もうお分かりかとと思いますが、ただ数字などで見せるだけでなく、

  • いまどういう状況かの状況の分かりやすい説明
  • 状況に対する評価
  • この後どうすべきかのか方針

といったことを分かりやすく伝えてユーザーが認知してはじめて「見える化」した意味がでてくるのです。情報を見せたけど後は自分で考えてね、ではダメなんです。見える化したデータを分かるようにして認知し、場合によっては行動する、その体験を作ること(UXデザイン)が重要なのです。

デジタルサイネージ・広告での落とし穴

弊社はデジタルサイネージや公共空間の体験空間デザインもしていますが、そこでもよくこの「見せる化」の落とし穴に陥ってる事例をみかけます。

駅・空港やショッピングモールにいくと見かけるディスプレイに広告を流しているデジタルサイネージ、皆さん見てますか?今朝、駅や電車内でみたサイネージの内容を覚えていますか?

ほとんどの方が見ていても「記憶してない」のです。認知してない、できていないのです。目に広告が一瞬でも入って見たら広告効果あり、と判断する広告業界の指標に私は以前から非常に疑問に感じています。

広告においては中長期的な記憶にならなくても、ふとした買い物中に思い出すなど、認知してもらう、そして行動につながることが重要だと考えます。そのためには、アイキャッチな広告や考えさせたり実際に触れたりなどコミュニケーションがある広告などは効果があるでしょう。前述同様に、広告などにもユーザー側の体験(UX)を考える必要があります。

ショールーム・展示会の落とし穴

企業のショールームや展示会での展示においても、技術やサービスを単に「見せる」ことしかしていないのをよく見かけます。その分やの技術やサービスを良く知っている人であれば飛びついて見るでしょう。しかし知識がない方々にアプローチし、知ってもらう、企業同士のマッチングしたい、営業がしたいなどが展示の目的であることが多いようです。

その為には実際にデモや技術を体験することが重要です。そして体験してもらうためにも、気がついてもらう必要があります。ポスターや展示のわかりやすさ、興味をもってもらうキャッチーな文言や問いかけ、身近に感じてもらうこと。また気がついてもらうための動線も重要になってきます。

以前、あるショールームリニューアルの相談をスポットでうけたことがあります。

そこではある商材の大きさをインドゾウやクジラの例えで記載されていましたが、皆さん、インドゾウやクジラの実際の大きさを直感的に感じていますか?そのメーカーの方は、スマフォにいれたARアプリでインドゾウをその場で出せばわかるのでは?とおっしゃってましたが、私はもっと簡単な方法があると伝えました。

そのショールームには広く高い真っ白な壁がいたるところにありました。なので、その壁にゾウやクジラの絵を原寸大で描く、またはプロジェクターなどで表示し、商材と比較展示すれば良いのではと提案しました。どうですか?AR/MR技術でもある程度、大きさはわかりますが、全長数メートルといった動物の巨大さとその商材の大きさを体験するなら、こんなアナログな方法でも良いのです。数字表記は「見える化」としては正しいのですが、わかる化、体験まではできないことが多いのです。

このようにどうしてもショールームや展示会などは各技術ブースを「見せる」ことばかり注視しがちです。そもそも見てくれない人が見てもらう、まさに魅せるための体験をどうするか、そして、記憶してもらうこと、これらの一連の体験デザインが大事で、それには必ずしもデジタルやIT技術を駆使する必要はないこともあるのです。

まとめ

ビジネスシーンで良く言われる「見える化」ですが、見せるだけでは不十分です。実際に顧客や社員が「見て理解して行動する」までを考えないといけないのです。

そのためには、

  • どう見せるか
  • 気がついてもらうには
  • 記憶に残してもらうためには
  • 行動への促進方法は
  • 見た後どう感じるか
  • 見る前の心理、行動状態はどうなのか

なと様々な体験をデザイン(UX Design)していく必要があります。

ネオマデザインではこのような見せる化を更に進めた分かる化(行動化)までも含めて体験価値デザインを行う事が得意です。ぜひお声掛けください


Michinari Kohno

Neoma Design CEO, New Business Coordinator, Beyond UX Creator, UI/UX Designer