UXのユーザは誰? – ネオマデザインの考えるUXとは –

UXのユーザは誰? – ネオマデザインの考えるUXとは –
この記事をSNSでシェアする

読了時間: 約 10 分

ネオマデザインでは人の体験(コト, UX)を中心にして、新規事業立ち上げや既存ビジネスの課題抽出と最適化を行っています。UXという言葉を直接使わなくても、ユーザ主体の、使いやすく、分かりやすい、長く使えるサービスを考えていく戦略は昨今、Webやネットビジネス以外の業界でも少しずつみられるようになってきました。

さて、そのUXのユーザ(顧客)とは誰のことなんでしょうか?CX(Customer Experience) という概念もあります。UXとCSとの違いは?ネオマデザインでは誰が対象なのか、ネオマデザインの考えるUXについて整理しました。

UXとCX

UX (User Experience, 顧客体験) とは

「ある製品やサービスを利用したり、消費した時に得られる体験の総体。個別の機能や使いやすさのみならず、ユーザが真にやりたいことを楽しく、心地よく実現できるかどうかを重視した概念である。」(IT用語辞典 e-Wordsより)

とも言われています。

概念のためUXの定義の仕方はさまざまです。概ね対象としてはプロダクツやサービス一つを対象にしています。一方で、CX (Customer Experience / カスタマー・エクスペリエンス)に関しては、プロダクツ、サービス、人、ブランドなど複数を対象と定義付ける事が多いようです。UXとCXの世界標準定義/ルールは実際にはないのですが割と共通なのは、『UXはCXの一部である』ということでしょう。参考としてUXとCXについて記載されているブログを紹介します。

UXとCXの違いとは(UX MILK様, Beata Green氏)
UXとCX。その違いを考える。(NCDC様ナレッジコラムより)

ネオマデザインの考えるUXと対象

ネオマデザインが考えるUXは一般的なUXといくつか拡張している部分があります。3つほどにわけて説明します。

◎限りなくCXに近いUX

一般的にUXやUXデザインで検索すると、WebサイトやスマフォアプリのサービスやUIに関することに関係することが多いため、「UXはIT業界固有の概念」と思われがちです。実際にUXというキーワードで色々検索してみてください。ネットビジネス系の会社やデザイナの記事や情報ばかりです。例えば建築、観光、美容業界でUXという言葉はまず聞かれません。しかし、UXの概念や考え方はネットサービス以外にも適用できる話しです。実際に非IT業界において、非常に素晴らしいサービスを提供されている会社やサービスでは、UXという言葉を使わないだけでUX的アプローチでしっかり戦略を立て顧客体験を最大化しています。ホテルにおけるホスピタリティに基づく顧客サービスなどはまさにUXと個人的には考えています。

さて、私は長年ソニーという巨大なグローバルカンパニーに勤務し新規プロダクツの立ち上げに関わりました。そのため、UXというとほぼ先のCX、つまり、複数対象が基本でした。常に会社のブランディングや戦略的な部分、他のプロダクツや子会社とのシナジー効果とか予算や人の最適化までも考えさせられました。複数のプロダクツや事業主体を持ち、世界中で様々なサービスを行う会社にとって、目の前の単体プロダクツやサービスだけ見ていてはいけないのです。

つまりネオマデザインの考えるUXはほぼCXと同じです。複数の対象になり、そこには会社のブランディング、戦略から始まりプロダクツなど束ねた状態までみます。もちろん、対象となるサービス単体も深堀します。これが一つの違いです。

 

◎人を学術的に徹底して知る

UXとはユーザ、つまり人間と人間の感じる体験が対象です。徹底して「人」に拘ります。

UXにはペルソナやカスタマージャーニーマップを代表とする色々なツールが存在します。デザイン、技術制約、サービス、コストといった色々な条件と分野を横断して考えるUXは非常に複雑なパズルを説く事が要求されます。そのために、課題や情報整理のため、また、関係者の意思統一のため、これらのツールを活用すると良いでしょう。一方で、ツールはあくまでもツールです。自分の普段の生活から出てくる経験とネットの情報だけで「人」は分析できません。人の認知や行動は、脳科学や心理学、行動経済学といった細胞レベルから心情、感情といった部分までを学術的な裏付けと共に考える必要があると考えます。

UXには重要な活動としてユーザビリティテストがあります。実際にユーザに商品なりサービスに触れてもらい、その行動をモニタリングしたりヒアリングによって課題点を浮き彫りにする実験です。この実験においては、人間の行動の癖や心理状態を理解していないと思わぬ罠にひっかかります。

情報が真実かどうかに関わらず自分が見たものや体験をもとにした信念を好む傾向にある「確証バイアス」、直前の数字などに価値がひきずられる「アンカリング」などなど心理学や行動経済学では有名な人間ならではの情動に気がつかずに実験をすると誤った結果やフィードバックをしてしまう可能性があります。

◎エンドユーザだけなくスタッフや周辺環境まで広く捉える

最後に3つめですが、ネオマデザインの考える「ユーザ」はUXでいうところのエンドユーザだけでなく、そのプロダクツやサービスに関わる「人」「コト」「環境」すべてが範疇ということです。

たとえば美容院やホテル業界などを考えてみましょう。UX改善しましょうというとまさにお金を払うお客様をユーザとして捉えていきます。どういう層のお客様がきて、どういう行動をとるか、どこで店を知り、入店から帰宅までを想定したりします。もちろんこれで良いのですが、更に一歩上の体験をお客様に味わってもらおうと考えると、そこで働く従業員のプラスαな行動がホスピタリティには重要になってきます。またお客様のために良かれとやっていたことが、実は隣の店舗や周辺住民にとって迷惑になっていたとするとどうでしょうか?一時的に儲けてもその会社や店のブランディングは下がっていきます。

例えば商業施設においての空間やサービスにUXを適用した場合、そのサービスや空間のコンセプトを従業員スタッフらがしっかり理解できていること、またそのUXについて自分たち自らが改善していこうとする気持ちがあるのとないのでは、その後のユーザ体験のクオリティに大きく関わると考えています。

つまり、ネオマデザインで考えるUXのユーザとはエンドユーザだけでなく顧客になる全ての人、従業員やスタッフ、その周辺環境などそのプロダクツやサービスに間接的に関わる事も対象になります。

このことは、以前記載したブログUX / HX Designを考える会社にかいてあります。ここでは、UXと言う言葉をつかうと混乱するので、UXを拡張してHXと書いてありますが一読してみてください。

まとめ

ネオマデザインの考えるUXは日本で良く言われている一般的なUXに加えて

  • 単一サービスやプロダクツではなく複数対象で、その会社のブランディングまで含む
  • 人間を徹底して理解するためにも価値観や感情を学術的な理論も有効活用する
  • エンドユーザだけでなくスタッフや周辺環境など間接的な部分もユーザの対象として考える

上記3点を拡張して考えています。

これはあくまでも弊社の定義ではありますが、実際にここまでアプローチできているUXデザイナや会社はあまりみかけません。UXというよりもCXとBX (Brand Experience) を足した領域、広く対応することが使命だと思っています。

BX(Brand Experience) については、”UXの上位にあるBX (Brand Experience) ブランド体験創出とは“(Neoma Design Blog) にも記載しましたので読んで見て下さい。

弊社のスローガンである「Beyond the Human experience 」は、「今まで体験した事がないコトを提供したい」という意味もありますが、「今までのUXを越えたやり方を」という意味も込めてあります。新しい体験創造をしたい、改善したいという方、UXよりもCXやBXまで考えたいという方、ぜひ弊社までご連絡くださいませ。

 


Michinari Kohno

Neoma Design CEO, New Business Coordinator, Beyond UX Creator, UI/UX Designer